ジョイントベンチャーでスマトラにパーマカルチャーを | パチョリオイルの購買

ノスタルジックに、大地を思わせるパチョリの香り。その香りが伝えるのは、命を育む大地と、その地に生きつく人々とつながるストーリー。

 ラッシュは商品に使用するパチョリをインドネシア*から調達しています。現地のサプライヤーとの交流を通して「レウセル・エコシステム(Leuser Ecosystem)」と呼ばれる世界でも類を見ない豊かな生態系が、深刻な脅威にさらされていることを知りました。レウセル地域は、トラやゾウ、サイ、オランウータンなどの絶滅が危惧される動物たちが共に暮らす地球上唯一の場所です。そのレウセルから車で2時間半ほどのガヨ・ルス地区こそ、エッセンシャルオイルの一大生産地。ラッシュもパチョリオイルをここから調達しています。

 しかし、この地で行われてきた焼畑農法は、土地、コミュニティ、そして貴重な生物多様性を傷つけてきました。農家は期が変わるごとに自然公園内の新しい土地を切り開きます。火が保護林にまで広がることで、動物の生息地が破壊され、危険が及ぶことがあるのです。安全な通り道が焼き尽くされ、農地を通らざるを得なくなったゾウやオランウータンは密猟の被害を受けやすくなります。

 ラッシュとして可能な限り責任を持ち、直接、そしてリジェネラティブにスマトラ産パチョリオイルを調達すべく、ラッシュのバイイングチームは姉妹慈善団体である「オランウータン・インフォメーション・センター」(Orangutan Information Center, 以下:OIC)とともに、10年にわたってスマトラの現地で活動してきました。2年前にはOICとラッシュのジョイントベンチャー(共同事業)として「ガヨ・ルス・パーマカルチャーセンター」(以下:  GPC)を開設し、パーマカルチャー(持続可能な社会システムをデザインしていく考え方)の実践を通して傷ついた土地のリジェネレーション*(再生)を加速しています。

*リジェネレーション:生き生きとした環境を再び生み出すということ。例えば砂漠の緑化。不毛な地を、肥沃で青々とした場所に変えること。「Making the beauty industry more than skin deep with Mark Constantine」 ( The Kindness Economy) より

 痩せた農地を再生するのに厄介なのが、スマトラ北部ならではの傾斜40度にもなる急勾配の環境。いつも土砂崩れの恐れがあって、栄養価の高い表土はいつ滑り落ちてもおかしくないような場所です。肥沃度は下がりやすく、農家は次から次へと耕作地を求めて、本来守られるべきはずの保護林内に移動してしまうのです。だからこそ重要になるのがGPCのノウハウ。この土地の肥沃度を維持する方法をセンター長のサバーに聞くと、「たとえば、作物の根の周りに水を保てるくらいの余裕をもって植えます。栄養豊富な状態が保たれ、土地を何度も再利用することができるので、移動する必要がなくなります。スペースをつくるための苗床の導入も、急峻な土地の負担を軽減して安定した栽培を可能にしています。」と、教えてくれました。

 サバーは、パーマカルチャーの専門知識を持った経験豊富なリーダーです。彼のリジェネレーション人生は12歳の時に始まりました。スマトラ島を襲った津波で家族を失い、バリ島のパーマカルチャー&サステナブル・リビングセンター(Centre for Permaculture and Sustainable Living)に養子として引き取られたことがきっかけです。自分の中の情熱を「パーマカルチャー」に見出した彼は、20代前半にはこのパーマカルチャーセンターの主任コンサルタントになっていました。そして、ラッシュのバイイングチームがスマトラ島ガヨ・ルス地区でのOICとの活動への支援を求めて、センターに連絡したのはまさにこの頃でした。OICへの愛着をもったサバーは、母国に戻って地域農業を持続可能にしていくためのトレーニングを主導することを決意しました。

 さて、こうしている間にも、世界的なエッセンシャルオイルの需要の高まりはとどまるところを知りません。必要な農地も増え続けていて、パチョリの茂みは数エーカーにまで広がっています。今、サバー率いるGPCと農家たちが取り組む課題は「安定した収入を維持しながら、リジェネラティブな方法で栽培し続ける」こと。GPCは、リジェネラティブな農法の実践と、良質なエッセンシャルオイル生産のため、技術開発とトレーニングの提供によってパチョリ農家を支援しています。ラッシュがGPCからエッセンシャルオイルを購入した資金の一部は、センターの運営と維持にあてられ、残りの資金は直接農家たちのもとに渡ります。GPCによるトレーニングの継続と発展を可能にしながら、農家たちの安定した収入に貢献しています。

 この取り組みの恩恵は農家個人の収入だけでなく、地域全体の持続可能な農法への転換にもつながっています。現在、この地域の農家の多くが近くの川の小さな水力発電ダムを利用した蒸留器を使用しています。従来、森の周辺の蒸留室で薪を燃やして生み出した電力を使っていた蒸留工程を、完全に再生可能エネルギーでまかなえるようになったのです。そうしてできたオイルを加工したり材料を販売することで、パーマカルチャーの普及と教育を続けるための資金を調達するサイクルになっています。

 10年ほど前にOICとラッシュのパートナー関係が始まって以来、スマトラの農家たちのためにパーマカルチャーの黎明、そして繁栄をともにサポートしてきました。そしてこれからも「リジェネラティブ」な取り組みを継続していきます。今日ラッシュはこの地域の6つの村からパチョリを持続可能な方法で購入しています。しかしこれで仕事が終わりではありません。スマトラの自然多様性に脅威がなくなったわけではないからです。GPCの継続した努力を通じ、ラッシュとしてもこれからの世代や農家たちのインスピレーションとなれば何よりです。この地区自体と、土地の再生とを結びつけることで、この希少な生態系の重要性を再認識してもらえることを信じて。

*インドネシアの中でも、スマトラ、ジャバ、スラウェシ地方で採れたパチョリを調達しています。

Words by Lauren Collins

ローレン・コリンズ

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