コットンノットラップ:種子からお店に並ぶまで

私たちは「中身が重要だ」と言われていますが、商品の外見も同じくらい重要なのではないでしょうか?私たちのコットンノットラップが、いかにして種子の状態からお店で売られる商品へと姿を変えるのか探っていきましょう。そうすれば、きっと納得していただけるはずです。

ラッピングの素晴らしき世界

身近な人が誕生日を迎えたり、試験に合格したり、赤ちゃんが生まれたら、何か特別なものをプレゼントしたいと思いますよね。従来の包装紙がもたらす問題に気が付いたとき、美しいデザインの布地が組み合わされた「ノットラップ」に目を奪われてしまうでしょう。ノットラップには、ペットボトルを再利用して作られたものやオーガニックコットンを使用したものなどもあります。旗のように店舗の天井に掲げられ、絵画のように壁に飾られたノットラップのおかげで、ラッシュの店内どこを向いてもカラフルな色彩を楽しむことができるのです。店内では、ギフトセットを上品に包んでくれているノットラップも目にすることができます。信じられないほど美しい仕様で巻かれ、結ばれたノットラップはそれだけで芸術品だと言えるでしょう。手を伸ばして一片の布に触れると、ラベルによってそれがコットン製であることがわかります。ノットラップに触れながら指を動かし心を巡らせていると、そのルーツ、ひいてはノットラップが誕生するまでのエシックスに思いを馳せずにはいられません。このノットラップはどこで作られたのでしょうか?誰が作ったのでしょうか?生産者は公正な賃金を受け取ったのでしょうか?使われているコットンはどこで栽培されたのでしょうか?誰が栽培したのでしょうか?コットンの栽培や染色を行うにあたって使用してはいけない物質を使ってはいないでしょうか?

もうあれこれ思いを巡らす必要はありません。これは目を引くラッシュのノットラップが、人間と環境のことをしっかりと考えながら数多く生み出されるまでのストーリーです。

始まりは種子から

Ananbappaはオーガニックの綿花を覆っている柔らかく温かい土にそっと指を入れ、分厚い土の塊を取り出しました。塊の中で動き回っていた何十匹ものピンク色のミミズたちは、やがて安全な地面の下へと移動し始めます。ここインドのカルナータカ州では、ミミズたちの存在が非常に大切にされています。ミミズたちの存在は地球が豊かで健康であることを意味しますが、この地で記録されるうだるような暑さの中では決して簡単に目にすることができる光景ではありません。

国内の多くのコットン栽培者とは異なり、Ananbappaは作物を栽培するにあたってオーガニックの農法を好んでいます。土地や作物の自然な回復力を損なう殺虫剤や肥料を大量に使用せざるを得ないGM(遺伝子組み換え)のハイブリッド品種を取り入れるのではなく、何世紀にもわたって行われてきた方法を選択しているのです。彼は有害な化学物質の代わりに自家製のミミズコンポストを使用しています。これはミミズたちによって生み出されるオーガニックのコンポストで、生ゴミを豊富な栄養分に変えて土壌を豊かにしてくれます。植物の病気を自然に抑え、保水性を高めるのに役立つこの技術を、彼はインドのオーガニック農業のコミュニティに惜しみなく伝えています。この新しいスキルを身につけた農家の人々は、経費を削減し利益を上げることができます。しかしそれよりも重要なのは、オーガニックコットンの栽培は温室効果ガスの排出量を最大で94%削減することができ、ひいては大局的な利益にも繋がるということです。

悪名高くも水分を多く必要とする作物を栽培する人々は、水不足問題にも直面しています。集約型の灌漑はコストがかかる上、かつてのみずみずしく豊かな風景を荒らしてしまう可能性もあるため、Dodaverabhdregowda家のようなオーガニックコットン農家は土地の地形をうまく利用しています。土壌が貧弱で自然由来の障害物にも恵まれていないと水は数秒で土地から流れ出てしまうため、Dodaverabhdregowda家は10エーカーごとに輪郭を整えて玉砂利の堤防を設置し、池を作りました。また彼らはモンスーンの期間中に雨が降った際、雨水を保持し水の流れを緩やかにするために、100エーカー近い一家の敷地にシルバーオークの木を新しく植えて複数の木立を作り上げました。この取り組みは彼らの作物そのものやその収穫に有益なだけでなく、環境やその中で暮らす人々にとってもメリットをもたらしてくれます。実際このアプローチはとても成功していて、一家は現在オーガニック農家が集まるコミュニティ内でトレーナーとして活躍し、インドの農地やそこで働き生活する人々の生活を改善するために自身の知識と経験を惜しみなく共有しています。

職人たちの手織り

オーガニックコットンの栽培はまだ物語の半分に過ぎません。繊維を紡いで糸にするところから、素晴らしい装飾が施された四角い形の織物が誕生するまでには、どのような過程があるのでしょうか?この答えは、2002年に設立された社会的企業で社会と環境の変革に関心を持ち、インドのマイソールに拠点を構えるre-wrapにあります。re-wrap社は、職人として細部にまでこだわり手作業で製品を作り上げる女性の裁縫師の人々を支援することを目的に活動しています。

「このアイデアは、特に家庭に持ち帰れる新しいスキルを学びたいと願う農村部の女性たちを啓発し、彼女たちに持続可能な生計を立てるための自立性を与えるものでした。」リサイクル(再生)、リクレイム(改善)、リインベント(再発明)の理念を掲げるre-wrap社の創立者、Janjri Trivedi氏はこう語ります。

「彼らはどこに行っても、人生で何をするにしても、この裁縫のスキルを生かすことができるのです。」

2009年、re-wrap社はマイソールに独自の製造拠点を設立しました。9人の女性からスタートしたre-wrap社は、これまで不利な立場にあった女性たちを支援し尊厳をもって公正な賃金を得られるよう働きかけることによって、彼女たちを訓練することができました。現在re-wrap社では数百人の職人が働いており、中には柔軟に在宅勤務ができるよう機械が支給された職人もいます。

職人たちには食事や軽食が提供されると共に、お祈りやグループストレッチ、ヨガに参加する時間も設けられています。

「ヨガは全体的な健康やウェルビーイングに効果があります』と、re-wrap社の運営責任者であるKaamila Qaziは語ります。『特に職人たちは1日の大半の時間ミシンに向かって座っているので、ヨガのストレッチは血行や柔軟性を高めるのに役立っているのです。」

年金や家族保険といったより重要な福利厚生のほか、re-wrap社では毎年全社的に、職人たちが選んだ宗教的もしくは歴史的な観光地への小旅行を企画しています。

Janjri氏はこう説明します。「職人たちには子供も含めた家族全員を連れて、3〜4日間の旅行に出かけることを勧めています。この旅行は、社会的な繋がりを感じ自由に自分を表現することができる機会となるのです。」

ノットラップ製造の全ての工程にハンドメイドの要素があります。オーガニックの布地にカラフルで独創的なデザインがプリントされている部分も含めて、ここにファストファッションは一切含まれていません。

「1色ずつ手作業でスクリーン印刷をしてくれる地元の印刷業者と協力することで、多彩な色味の模様を生み出すことができているのです。」とKaamila氏は語ります。「例えば"Ready Jelly Go"のノットラップでは、それぞれの色を職人が別々に重ねていくことで合計16枚のスクリーンを完成させています。」

GOTS(オーガニックテキスタイル世界基準)およびWFTO(世界フェアトレード連盟)の認定を受けたサプライヤーであるre-wrap社は、アゾフリーの染料を使用するなど、サプライチェーン全体において厳しいオーガニック手法を遵守しています。アゾ染料は洗濯で落ちにくい鮮やかな色彩を幅広く表現でき、低温での染色も可能なため繊維産業で多く使用されています。しかし、アゾ染料の最大5%が還元分解することで芳香族アミンという化合物が生成されることが判明しています。アミンは発がん性のある副生成物で、環境にも深刻な影響を及ぼす恐れがあります。アミンが放出された先の水に生息する水生生物だけでなく、生態系全体、ひいてはこの地球上の全ての生命が依存している水循環に害を及ぼし得るのです。さらに、皮膚から体内に入る特性を持つアゾ染料と、膀胱や肝臓などの特定の癌には関連性があることも明らかになってきています。汗をかくと有害なアゾ染料が生地から皮膚に付着するため、製造時にアゾ染料を扱う人やアゾ染料が使われた完成品を身につける人に危険が及ぶこともあります。アゾ染料の使用に断固として反対しているre-wrap社は、自社で製造する全ての製品で化学物質の排出がされないことを保証しています。

社会的企業であるre-wrap社は縫製スキルによって女性たちを支援するだけでなく、農家の人々の支援活動も行っています。100%オーガニックコットンを栽培する農家とだけ提携し、従来の農法を採用している農家の人々をオーガニック農業に移行させる取り組みも実施しています。例えばre-wrap社は、新たにオーガニック農法を始めたりオーガニック農法への転換を図るために資金を必要とする農家の人々に対して事前融資を行い、高金利の貸金業者への依存を解消しようとしています。re-wrap社によると、従来の農法を採用していた農家がオーガニック農法へ切り替えたことによって、流産の数が減り農家の子供たちの就学率が上がったといいます。

ラッシュの商品には必ずストーリーがありますが、コットンノットラップには色とりどりの素材にいくつものストーリーが織り込まれていて、商品の外見も大切であることを証明してくれています。

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