パーフェクトな花弁:イランイランの調達

エキゾチックなイランオイルは、気分を落ち着かせる香りとして、世界中で使用されていますが、確かな品質の原材料を持続可能な方法で仕入れるためには、農法と農業自体への新しいアプローチが必要です。

カナンガの木の花からとれるイランイランオイルは、濃厚でエキゾチック、そして素晴らしい香りを放ちます。長い歴史の中で数多く使用され、今でも人気が高い香りです。
温かみのある、カスタードのような甘い香りは、気分を落ち着かせます。

この花が自生する国フィリピンのヒーラーでは、崇拝の対象になっており、花は宗教画の装飾にも使用されます。

オイルは主にその香しい芳香を目的に使用されますが、お肌や髪のコンディションを整えるためにも使用されます。そのため化粧水やシャンプー、バス商品やマッサージバーにも使用されています。ジャスミンと組み合わされることが多いのは、二つの香りがお互いを見事に補い合うからです。

カナンガの木、あるいは単にイランノキと呼ばれるそれは、60フィートの高さになる熱帯植物です。フィリピン・インドネシア・マレーシア原産で、原産地である熱帯の生育条件に近い太陽と土壌を好むため、マダガスカル・ポリネシア・コモロ諸島・アフリカの南東沖でも栽培されており、ラッシュもイランイランの一部をそれらの場所からも調達しています。

イランイランはコモロ諸島の最大の輸出品であり、地元の人々にとっても重要な生活の糧ですが、群島がイランイランの花に依存しているため、持続可能性の課題がいくつか生じています。オイルは、薪で火をおこして使う小さな蒸留器を使って生産されます。地元の薪の需要は、料理や暖房、イランイランの生産など、さまざまなことに使用されますが、一部の地域では森林伐採を引き起こしています。

ラッシュはこれに対処するため、地域の様々なNGOと組んでアグロフォレストリーと植林を奨励するとともに、サプライヤーのオイル生産に携わる労働者向けに教育と訓練を提供してきました。また、より長期的な戦略の一環として、ガーナの拠点で、環境に良い持続可能な方法で、自社のイランイランオイルを生産しています。

ラッシュはガーナにあるイランイラン農園を8年前に取得し、過去5年にわたってイランイランの木を守るだけでなく、他の植物や野生生物を抱えられるような豊かな生態系へと作り変えてきました。

引き継いだ当初、その土地は単一作物の農園でした。つまり一般的には環境にとってよくない、一種類の作物や植物のためだけに使われている状態です。エネルギー集約的であり生態系のバランスを破壊し、結果的に生物多様性を損なうからです。ヤシの木を植えたりパーム油の収獲のためにインドネシアの原生林を破壊することは、単一作物の分かりやすい例です。

この有害なモデルの対極にあるのが、植物と樹木の混合物が協力して、自立した、自然な生態系を作り出す、パーマカルチャーです。植物や樹木はそれぞれ、食物の生産、日陰の提供、窒素レベルのバランスをとるといった特定の機能を果たし、環境が均衡と調和の中で成長し繁栄できるようにします。

これが我々のイランイラン農園に関して持っている野望です。カナンガの木の他に私たちは蔓性のバニラやレモングラスを植えました。これらは土壌の保水に役立つだけでなく、ラッシュの他の製品にも使用できます。また、パパイヤの木とココヤシも植えました。これらは市場向けの農産物と地元の人々の雇用を生み出すことで、地域経済を支えています。新しい植物の多くが、優れた天然の肥料としての作用があるため、この畑では農薬や肥料を使用していません。 まだ有機栽培登録はされていませんが、それを目指しています。

ガーナは近年多くの干ばつに見舞われました。そこで畑に保水効果のある植物を入れることに加えて、自然な湖も作り、乾期にあってもなるべく多く採水できるようにしました。これは現地の野生生物を助け、(イランイランの木に茂る黒い実が大好きな)虫や鳥たちにとっても豊かな生息地を作ることとなります。

ガーナにある自社の畑からとれるイランイランオイルの量は年間30キロと、わずかです。ですからまだ完全な自足には達していませんが、いずれそうなるでしょう。それまでの間、我々は自社の農園で重要なパーマカルチャーの教訓を学んでいきます。サステナブルかつリジェネラティブな資源の生産への、より良い取り組み方を発展させるために。我々が使う原材料のすべてが、豊かで、多様性に満ちた、ハッピーな生息地から得られるように、取り組みを継続させてまいります。

レイチェル・イングランド

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