ローズウッドの跡に違法伐採者あり

2017年当時、ラッシュのヘッドバイヤーを務めていたサイモン・コンスタンティンのレポートです。他社が⼿間もコストも節約しようとする中で、ラッシュのエシカルな原材料の調達において、今まさに起こっている問題について語っています。

⽊材の束が静かにアマゾン川の⽀流を下っていきます。先住⺠の家族は、⽊材の上に乗って移動しながら、この貴重な貨物を近隣の町へ運ぶこともあります。この巨⼤ないかだのような⽊材の束は、たくさんの硬材の集まりで、無差別に伐採され、200本で50ドルという安値で売られることもあります。 ⽊材の束が静かにアマゾン川の⽀流を下っていきます。先住⺠の家族は、⽊材の上に乗って移動しながら、この貴重な貨物を近隣の町へ運ぶこともあります。この巨⼤ないかだのような⽊材の束は、たくさんの硬材の集まりで、無差別に伐採され、200本で50ドルという安値で売られることもあります。

私がこうした⽊材の正しい価値を知っているのは、この中には数年前にラッシュが伐採権を有する森林から盗まれたものが含まれるからです。その6,000ヘクタールにおよぶペルーの熱帯⾬林を保護するための伐採権を私たちは取得していました。2013年、違法伐採者がすでにこの近くに迫っており、その区域を皆伐から守る唯⼀無⼆のチャンスがあった我々は、ニュージーラントの⾸都であるオークランドの⾯積に匹敵するサイズの森を慌てて⼊⼿しました。

ここは絶滅の危機にあるローズウッドの⾃⽣地でもありました。ローズウッドは、ストラディバリウスのバイオリンなど、⾼級な⽊⼯品に使われることで知られていますが、ローズウッドから精製されるエッセンシャルオイルは、そこまで知られていないかもしれません。ラッシュがローズウッドオイルを使っている理由は、その⾼品質さだけなく、この⽊を絶滅の淵から救いたいという両側⾯があります。

2013年、我々はローズウッドの持続可能な伐採計画をスタートさせました。これにはポラーディングと呼ばれる剪定⽅法が⾏われます。これは、⽊を⼈間の胸の⾼さに伐採することで、⽊が成⻑し続けることを促進します。この技術を正しく取り⼊れることで、⽊の寿命を延ばし、⽊の命を奪うことなく、森林が収⼊をもたらしてくれます。慎重に剪定がされると、⼟地には⽣命が広がります。我々がこの場所を訪問した際には、ジャガーやバクの⾜跡、アナコンダの⼦どもがいた形跡が道にたくさん残っていました。この状態は、ほぼ⼈の⼿がついていない状態か、それよりも豊かなほどです。 

我々は、すぐに先住⺠であるシピボ族や地元のコミュニティから⼈を雇い、「マザーハウス」を建設しました。新境地を切り開いているという感覚がありました。しかし、アマゾンはその美しさと同じだけ危険で、我々の取り組みが現地のコミュニティに歓迎されないこともありました。訪問後、すぐこう⾔われました。 

「よそ者は去れ。さもないと銃弾を⾷らうぞ。」 

これは伐採者が残した警告メッセージで、朽ちた⽊の幹に荒っぽく彫られていました。それでもなお、我々は正しいやり⽅を貫こうという決意がありました。それから間も無く「マザーハ ウス」の祝賀落成式が開かれ、地⽅⾃治体の代表者たちも参加をしました。そこでは、その先 20年に渡って区域内の⽊を区画に分けて剪定伐採していくプランを策定しました。区画内で

は必要に応じて適切な収穫を⾏い、その後20年は同区画では収穫を⾏わないというプランでした。 

実際、あとどれほどの野⽣ローズウッドが残されているのか。この問いを投げかけると同時に、管理区画外のプランテーションで、⽐較的新しい収穫技術の必要性を確証しなければなりませんでした。また、これはCITES(絶滅のおそれのある野⽣動植物の種の国際取引に関する条約、ワシントン条約)がペルー産ローズウッドの取引に規制を強めた時期と重なりました。私たちは待つしかなく、待ちに待ち続けました。規則に従い、時間をかけることで信念を貫く形で計画を実⾏できるという希望を持ちながら、これは地元コミュニティや国際ビジネス、森林のためになることと信じ、この区域にかなりの⾦額を我慢強く投資しました。

この間、我々はこの区域を守らなくてはなりませんでした。違法伐採がはびこり、2015年には他のエッセンシャルオイル企業がローズウッドを求めて同区域を偵察しているという噂も⽿にすることがありました。それだけが理由ではありませんが、そこから違法伐採が始まりました。近隣エリアや我々の区域からも、ローズウッドが姿を消していきました。CITEの禁輸措置前に合法に蒸留したオイルを送っていた時は、港湾関係者は我々のオイルのことを、「⾹りからいってマジョラムオイルだ」と⾔いました。我々はそれが本物のローズウッドだと⾔っても、関係者の⿐には全く違うオイルの⾹りであり、疑われる元となったのです。 

当時、あるニュースが届きました。直売エッセンシャルオイルの⼤⼿企業グループ、ヤング・リヴィングが⽴ち上がり、全てを⽩状したのです。同社はペルーからローズウッドを仕⼊れていましたが、それが違法に⼊⼿されたものであったことが明らかになりました。アメリカ司法省は、76万ドルという⾼額な罰⾦を同社に課し、その内12.5万ドルをローズウッド保護のために使うよう要求しました。

我々が⽬にした伐採は、ヤング・リヴィング社に責任があるのでしょうか。その答えは誰にもわかりません。エッセンシャルオイルの業界では、このような訴訟を⽬にすることはほとんどありませんが、これは警告と捉えられるべきことです。害がなさそうに⽢く⾹る素材に潜む多⼤な影響に、消費者や関係者はもっと気づくべきなのです。 

ラッシュでは、きちんとリサーチを⾏って慎重に調達をすること、原材料や素材の存続性が危険にさらされやすいことからも、それらについて徹底的に理解を深めることに時間を費やしています。周りのアプローチが成功しているように⾒える中、それと異なる⽅法を選ぶのことは容易な覚悟ではありませんが、近年のニュースが証明するように、世界は本当に良い⽅向に進んでいるのかもしれません。 

こちらの原材料が使われている商品
パフューム『グラスルーツ』

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